このところ、日本からローマへいらっしゃる新婚さん数組とお付き合いがあったのですが、皆様、天使と悪魔シリーズの映画をみたということで、謎解きになったベルニーニの彫刻に興味深々です。
今週は天使と悪魔に登場するS.Maria?della Vittoria 教会(勝利のマリア教会)をご紹介します。
簡単に教会の説明
名前の由来は1620年プラハ近郊の山でカトリック信者ハブスブルグ家のフェルナンド?率いる軍とプロテスタントとの戦いにて、ハブスブルグ軍が勝ったことから、もともとはS.パオロのために奉納された教会だったのを勝利へ導いてくださった聖母マリア様へと献納されました。そして勝利のマリアという意味の「S.Maria della Vittoria」という名前になりました。
(正面アプシデの壁画はその戦いの勝利が描かれています。普通の教会ではイエス・キリストや聖母マリアの壁画ですよね)
教会正面(ファザード)。1624年にパオロ5世(ボルゲーゼ家)の枢機卿シッピオーネ・ボルゲーゼが資金をだし、ジョバンニ・バッティスタの手がけた建築です。
ボルゲーゼ家の紋章、鷹と竜の彫刻にも注目です。
(手前の教会がS.Suzanna教会、モーゼの噴水が右側にあってその奥がS.Maria della vittoria教会)
S.Maria della vittoria教会正面はジョバンニ・バッティスタ建築ですがS.Suzanna教会のファザード建築家カルロ・マデルノの構図と影響をすごく受けて建築したのでこの二つの教会の正面はすごく似ているんです。建築家は違うけれど双子のような2つの教会ですね。
「天使と悪魔」の中で「火」に謎解く彫刻が、ベルニーニ作の
「Capella Cornaro」コルナロ家の礼拝堂内にある
聖女テレジアの法悦
天使が槍で聖女テレジアの胸を刺す構図は、聖女テレサの苦行の中で感じる苦痛により、主に近づく事が出来る喜びを表しているのです。
聖女テレジアは、天使が槍で自分の胸を突き刺すイメージを苦痛の中で感じていたそうです。
その為、テレジアの表情は喜びと苦痛の奮闘による法悦の表情をしていて、天使はやさしい顔でテレジアに槍をさしているのです。
天からの光がさしている様子を表すための金色の光の棒、上部に小窓がついているので外からの光がこの金色の棒にかざされ輝きを増す構図にもご注目くださいね。
この様子を一つの劇場の一場面として、両脇には劇場構図によってコルナロ家のフェデリコ氏やジョバンニ氏が観ているのです。
この礼拝堂はベルニーニが最後まで手掛けたという事でも芸術的な価値があります。
天使と悪魔の教会めぐりの中でローマの歴史にも触れながらお二人にとっても知的な観光をどうぞ楽しまれてくださいね。
ローマより 桜子