スコットランドの首都・エディンバラから北面へ電車・バスで2時間。そこには約100年前に文豪・夏目漱石が滞在したとても可愛くて小さな村が存在します。
名前はピトロッホリー。スコットランド旅行にしては珍しくレンタカーを借りる必要がなく簡単に訪れることができる、エディンバラからの日帰りも可能な人気のリゾート地です。
村の規模のわりに、登山やウイスキー蒸留所などのアクティビティが充実しており、なによりも漱石が見たであろう昔から変わらないスコットランドの壮大な原風景を今も楽しむことができます。
新婚旅行でスコットランドを訪れたカップルさん、都市部だけでなく田舎も訪ねてみたいという方は、ピトロッホリーへの滞在も検討してみてください。
ピトロッホリーとはどんな場所?夏目漱石が解説!
1902年の秋、ロンドンに留学していた夏目漱石。ジョン・ヘンリー・ディクソンの招きでスコットランドのピトロッホリーを10日間訪れ、短編小説「昔」の中で100年前の村の様子をこのように書き残しています。
〜ピトロクリの谷は秋の真下にある。十月の日が、眼に入る野と林を温かい色に染めた中に、人が寝たり起きたりしている。
十月の日は静かな谷の空気を包んで、じかには地にも落ちて来ぬ。と言って、山向こうへ逃げても行かぬ。
風のない村の上にいつでも落ち着いて、凝と動かずに霞んでいる。その間に野と林の色が次第に変わって来る。
酸いものがいつの間にか甘くなる様に、谷全体に時代が附く。ピトロクリの谷は、此の時百年の昔し、二百年の昔しにかへって、安々と寂びて仕舞ふ。〜
■引用元「現代日本文学全集第19編 夏目漱石」より
小説から感じ取れるように、ロンドンでの生活に疲弊していた彼は、スコットランドののどかな秋の田舎風景に心癒され、人懐っこいスコットランド住民との対話で心身ともに癒されたこと間違いありません。
ピトロッホリーへの行き方は?宿泊施設はある?
そんなピトロッホリーへの行き方はとても簡単です。エディンバラから電車であればScotsRail社、バスであればMegaBus社が1日に数本運行しています。どちらも乗り換えの必要なく、約2時間ほどで村へと到着します。
おすすめの季節は4月から10月。冬の場合、村の店やB&Bなどが休みをとる場合が多いため、春先から夏にかけてが一番のおすすめ時期です。
ピトロッホリーはスコットランドでも人気の観光地のため、B&Bがとても充実しています。ブッキングドットコムなどインターネット宿泊予約サイトを利用して、簡単に予約することができます。
しかし夏季期間はすぐに宿が埋まってしまうので、少なくとも1・2ヶ月前に予約をしておくことのがよいでしょう。
夏目漱石が宿泊した家は貴族の邸宅として使用されていましたが、現在はダンダラック・ホテルとして運営されています。その為、一般客の私たちも宿泊することができるので、漱石ファンの方は是非訪れてみてください。
ベン・ブラッキーに登り、スコットランドの美しい自然を堪能
ピトロッホリーに訪れたら是非チャレンジしたいのがベン・ブラッキーへの登山。この山への登山は簡単とは言えませんが、かといって難しくもありません。
私が登った時は往復で5時間(ゆっくりペース)、登山慣れしているカップルさんであれば4時間ほどで往復できると思います。ある家族連れの方は犬を連れ、散歩のように登山していました。
春先も登ることが可能ですが、雪が残っているので、やはり6〜8月が一番のおすすめシーズンです。服装はもちろんトレッキングシューズにウィンドブレーカーを用意してください。
ランチ用のサンドイッチとペットボトルの水(道中で美味しいスコットランドの天然水を補充できます。)、チョコレートやビスケットも持参しておくのもよいでしょう。
村の観光案内所で地図を購入したら、可愛らしい家々をくぐり抜けると大きな原っぱに出ます。その付近から登山者の方々に続々と出くわすので、あとは皆さんの後について行くのが簡単です。お会いする方々には「ハロー」と笑顔で挨拶を交わしましょう。
スコットランドの有名な植物「ヘザー」が登山者を迎え入れます。
季節によっては黄色や紫に色づくので、とても綺麗な景色と遭遇することができます。
山の中腹で湖「アチョワール湖」に到着します。美しい湖を眺めながらランチをとってもいいでしょう。
スコットランドの天気は1日の中に四季があると言われるほど、変わりやすいです。晴れていたと思えば、十分後には雨、風が。ウィンドブレーカーを着たり、脱いだりして体温を調節してください。
山頂からの景色は息を飲むほどの絶景です。360度の風景を充分見渡してから下山しましょう。
ウイスキー蒸留所で工場見学&ほろよいウィスキー体験
ピトロッホリー付近には2つのウィスキー蒸留所、エドラダー蒸留所とブレア・アソル蒸留所があります。今回は村の中心地から徒歩15分のところにあるブレア・アソル蒸留所を訪れました。
原材料や水の説明、ウイスキーが作られていく過程を工場内を周りながら、説明を受けます。見学の最後にはウィスキーのテイスティングを楽しむことができ、もちろんウイスキーのその場で買うことができます。お酒が好きのカップルさんには欠かせないピトロッホリーの定番スポットです。
<Information>
■ブレア・アソル蒸留所
住所:Perth Rd, Pitlochry PH16 5LY
電話番号:+44 (0)1796 482003
blairatholdistillery.com(ウェブサイトメンテナンス中)
https://www.facebook.com/BlairAthol/(Facebookページ)
■エドラダー蒸留所
住所:Pitlochry, Perthshire PH16 5JP
電話番号:+44 (0)1796 472095
http://edradour.co.uk
※土日休業
スコットランドで大人気のアクセサリー「ヘザー・ジェムス工場」でお土産を購入
スコットランドで大人気のカラフルな自然派アクセサリー「ヘザー・ジェムス」。エディンバラや、グラスゴーなど、スコットランド各主要都市にあるお土産屋さんには必ずといっていいほど売られているポピュラーな商品です。
実はこのヘザー・ジェムスはピトロッホリー出身のブランド。その工場も村の中心地にあり、見学することができます。
ピトロッホリー周辺の山々に群生しているヘザーを刈り取り、美しく色付けされ、すべて手作業によりカット、コーティングされる様子がガラス越しに見学可能です。手に取ったアクセサリーはまさに一点もの。すべてのヘザー・ジェムスは色が異なります。
楕円形やハート型のシンプルな形から、スコットランドを象徴するあざみの花や、ハイランド牛、スコッティと呼ばれるスコットランドのわんちゃん型まで、アクセサリーの種類は多種多様。
ピアス、ネックレス、ブローチ、リングなど、気に入ったものを是非旦那さんにおねだりしてみてくださいね。思い出の一品になること間違いなしです。(ヘザージェムスは平均20〜40ポンドほどで、奥様にお渡したダイアモンドより高くはありません!)
<Information>
■ヘザー・ジェムス
住所:22 Atholl Road Pitlochry, PH16 5BX
電話番号:+44 (0)1796 474391
https://www.heathergems.com/
ハネムーンで訪ねるピトロッホリーおすすめ観光まとめ
以上、スコットランドの村ピトロッホリーについてお伝えしました。
ピトロッホリーには、上記のアクティビティ以外にも村周辺に川が流れており、川沿いやフットパス(散歩道)を手を繋ぎながら散歩をするだけでも、ベンチに座り会話を楽しむだけでも、その美しく穏やかな景色が相まってふたりの時間を優しく包みこんでくれるでしょう。
そう、夏目漱石が100年前に体験したように。そしてあなたの日記に21世紀のピトロッホリーの思い出を是非書き残してください。
ピトロッホリーハネムーン楽しみ方まとめ
- 夏目漱石が心を癒したスコットランドのちいさな村
- エディンバラから電車・バスを使って約2時間
- 漱石が滞在した貴族の邸宅に今も宿泊可能
- ベン・ブラッキー登山で大自然を満喫
- ウイスキー蒸留所で工場見学と試飲体験
- ヘザー・ジェムスでスコットランドのアクセサリーをお土産に
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