パリ・オペラ座(ガルニエ宮)の目の前という素晴らしいロケーションのホテル「インターコンチネンタル パリ ル グラン(InterContinental Paris Le Grand)」。
前編では、その輝かしい歴史とクラシカルな館内、目の前がオペラ座という客室、そしてサラ・ベルナールも歌った圧巻の歴史的建造物「サロンオペラ(Salon Opera)」をご紹介させていただきました。
後編の今回は、800㎡もの広さを誇る美しいロビーラウンジ「ラ・ヴェリエール(La Verriere)」。
そして、オペラ地区のカフェ文化の象徴であり、やはり歴史的建造物として認定されている「カフェ・ド・ラ・ぺ(Cafe de la Paix))」をご紹介させていただきます。
その繊細な美しさは溜息ものですよ!
1.ガラス張りの天井の巨大なジャルダン・ディヴェール(冬の庭)があるロビーラウンジ
2. 都会のど真ん中とは思えない静かでシックな時間が流れるロビーラウンジ「ラ・ヴェリエール」
3.当時を偲ぶ「ラ・ヴェリエール」に面した女性専用サロン
4.オペラ地区のカフェ文化の伝統を守り続ける歴史的建造物「カフェ・ド・ラ・ぺ」
5.レストランでもビストロでもなく、伝統的なブラッセリーそのもの
6.「カフェ・ド・ラペ」で1862年から続く「オニオングラタンスープ」と人気の「ミルフィーユ」を実食
ガラス張りの天井の巨大なジャルダン・ディヴェール(冬の庭)があるロビーラウンジ
まずは前編でご紹介させていただいた、重厚なフロントカウンターが印象的なエントランスを抜けると現れる、広々とした明るく美しい空間をご紹介いたします。
それがこのロビーラウンジ「ラ・ヴェリエール」。何と800㎡の広さです。
しかも、ご覧ください。
天井全面がガラス張りの大きなジャルダン・ディヴェールなのです!
ジャルダン・ディヴェール(Jardin d’hiver)とは「冬の庭」という意味で、天井がガラス張りになっていて冬でも光が差し込む空間のこと。
これだけ巨大なジャルダン・ディヴェールはパリでも希少です。
天井と豪華なシャンデリアをとり囲むように並ぶガラス越しの客室の光景も美しく迫力があります。
実はここは元々は馬車などを停めておくための場所。
19世紀当時、馬車を持つということはスティタスシンボル。
パリ中の貴族や成功した人々が馬車でここにやって来て停め、そして晩餐会や舞踏会へと向かったのです。
この場にたたずんでいるだけでも、なんだか馬の蹄の音か車輪の音が聞こえてきそうな、ちょっと不思議な感覚になりますよ。
都会のど真ん中とは思えない、静かでシックな時間が流れるロビーラウンジ「ラ・ヴェリエール」
そんなロビーラウンジは、外の喧騒とは完全に離れゆったりと休める場所。
朝から夜まで1日中いつでも寛ぐことができ、飲み物はもちろん軽いお食事、ホテル特製のスイーツも揃っております。
また一端にはシックなバーもあり、夜には落ち着いた大人の時間を過ごすことが出来ます。
夏はもちろんのこと、冬でも明るく温かく、まさにここはジャルダン・ディヴェール。
でも実は、このホテルが2020年まで順番に全面改装中であることは、前回すでにご説明させていただいておりますが、ここも改装予定。
歴史ある美しい造りはそのまま残して生まれ変わるそうです。
今でも十分美しいですが、改装後もまた楽しみです。
当時を偲ぶ「ラ・ヴェリエール」に面した女性専用サロン
「ラ・ヴェリエール」に面するこのサロンもご紹介しておきましょう。
ここは当時女性だけが使っていたサロン。
というのもその時代は、フランスも女性は慎み深く控えめであることが美徳とされ、このサロンから馬車でやってくる人々をそっと眺めたのだそう。
ここからはじまる恋もあったのかもしれませんね。
オペラ地区のカフェ文化の伝統を守り続ける歴史的建造物「カフェ・ド・ラ・ぺ」
それではオペラ地区の象徴であり、このホテルの歴史を語る上でかかせない「カフェ・ド・ラ・ぺ」をご紹介いたしましょう。
創業はホテルと同じく1862年。
一歩入ると店内は第二帝政期当時のスタイルそのままのクラシカルな雰囲気。
重厚でありながら金を用いた内装が豪華でエレガントです。
「インターコンチネンタル パリ ル グラン」には、フランス政府認定の歴史的建造物が2か所あることを前編でお伝えさせていただいておりますが、1つがすでにご紹介させていただいた「サロンオペラ」。
そして2つめがここ「カフェ・ド・ラペ」になります。
特にカフェ内の天井が最も重要な個所。
美しいフレスコ画が天井の至る所に描かれておりますが、実はこれが描かれたのには理由がありました。
当時は電気がまだなくガスのみ。
そのガス管が天井のあちこちに通り見栄えが美しくないので、それを隠すためだったのです。
こちらをご覧ください。
白一色だけの枠の周りに白と金で描かれた枠のような細いものがありますが、これが当時のガス管。
これを隠すためだけに描かれたのが、天井全面の繊細で美しいフレスコ画たちだったというわけなのです。
そしてそれが今、国の文化遺産となっているのです。
ちなみに、真ん中に描かれたエンジェルはそれぞれにお酒を飲んでいたり、煙草をふかしていたりと大人顔負けのやんちゃぶり。
ちょっぴりユーモアがちりばめられているんですよ。
もちろん現在は電気なので、ガス管は使われておりません。
時代の不思議で面白い流れを感じずにはいられませんね。
レストランでもビストロでもなく、伝統的なブラッセリーそのもの
「ここはレストランでもビストロでもなく、長年に渡って伝統的なブラッセリーそのものなんです」とは、案内してくださったホテルの方の言葉。とても印象的でした。
150年以上の歴史の中では、作曲家のジュール・マスネや作家のエミール・ゾラ、プルースト、モーパッサン、オスカー・ワイルド、ヘミングウェイ、女優のマレーネ・ディートリッヒ、歌手で俳優のイヴ・モンタンらも常連でここでカフェや食事を楽しんだそう。
そんな歴史あるお店で今も変わらず、私たちも同じようにカフェや食事を楽しめるというのは素敵なことですね。
さてさて、そのお食事ですが、総料理長は2016年からローラン・アンドレ(Laurent André)。
8区のロワイヤル・モンソーラッフルズホテルパリのエグゼクティブシェフを務めていた経験があり、日本にも何度も来日なさっている方。帝国ホテルで「ローラン・アンドレウィーク」を開催しているので、ご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そしてシェフ・パティシエは、今年2018年に就任したばかりの女性のソフィー・デゥ・ベルナルディ(Sophie De Bernardi)。
ミッシェル・トロワグロやフランソワ・ぺレ、アラン・ソリヴェレスなど数々のスターシェフのもとでデセールを創ってきました。
美しいデセールが並んでおりますが、「カフェ・ド・ラ・ぺ」で長年人気のバニラ風味のミルフィーユももちろんあります。
ハネムーンでぜひ、1862年から続く「オニオングラタンスープ」と人気の「ミルフィーユ」を味わって!
せっかくなので、わたくしも「カフェ・ド・ラ・ぺ」にて休憩もかねてランチタイムです。
選んだのは、これは外せないなと思い、まずは1862年当時からのメニュー「オニオングラタンスープ」。
量が多いと聞いていたのでこれだけでお腹いっぱいになってしまうかも、と覚悟?していたのですが、大丈夫。程よい量でちょうどよいです。
お値段は22ユーロ。
なかなかのお値段ですが、この伝統ある美しいカフェでその雰囲気も一緒にいただくという感じなのでしょう。
お味はほんとに王道のオニオングラタンスープで1862年当時ときっとまったく変わらないんだろうな、と。これがいいんでしょうね。
他に1930年から続く「チキンのテリーヌ」や、ローラン・アンドレシェフのガストロノミックな料理もズラリと揃っておりまして、バラエティ豊かなメニューとなっております。
そしてこれも外せません。ミルフィーユです。19世紀に考案された、これもフランスの伝統。お値段15ユーロ。
バニラがしっかり香るカスタードクリームとパイ生地は程よくしっとり系です。美味しいです。
実は甘いものがそれほど得意な方ではないのですが完食。大きさもちょうどよくて大満足です!
で、実はこの「カフェ・ド・ラ・ぺ」も改装の予定。
ただし、歴史的建造物ですので、その部分はすべてそのまま。
改装後は新しい絨毯や椅子に座ってゆっくりと美しい天井を眺める、ということになるかと思います。
改装はまだ少し先になりますが、今も改装後も変わらず、オペラの文化と歴史を守り続ける特別な場所であり続けることでしょう。
2回に渡りご紹介させていただいた「インターコンチネンタル パリ ル グラン」いかがでしたでしょうか。
今回取材をさせていただき、パリの歴史と文化の奥深さを改めて感じ、とても興味深かったです。
こういうことを知った上で訪れると、それぞれに感じ方がまったく違ってくるかと思います。
このように長い歴史があるホテル、建物なので、現代的な建物と違い、すべてが便利、というわけにはいかないかもしれません。
そんなことも理解した上で、このオペラ座と共に歩んだホテル「インターコンチネンタル パリ ル グラン」を、ハネムーンで訪れるというのはパリの大きな旅の思い出になるのではないでしょうか。
■取材協力
インターコンチネンタル パリ ル グラン INTERCONTINENTAL PARIS LE GRAND
住所:2 Rue Scribe : Paris
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