ユネスコ世界遺産に2001年「中世市場都市プロヴァン」として登録されたプロヴァン。パリから電車で1時間30分でアクセスできます。
古くからバラの町としても知られ、春と秋は町中でバラの花咲く美しい風景が見られるんです。
今回はそんなプロヴァンを3回に渡り大特集いたします!
日帰りでも行ける場所ですが、ハネムーンならぜひ1泊してゆったりとした時間を過ごすのもおすすめ。
何と、日本初ご紹介のお城のような美しいホテルを第2弾で、フランス最古のレストランを第3弾ご紹介させていただきます。
1回目は絵画のような中世のたたずまいの旧市街、バラ園などをご案内いたしましょう!
<今回観光したスポット>
- 「地方と職人の館(La Maison du Terroir et de l’Artisanat)」
- 「セザールの塔(Tour César)」
- 「ス-テラン(Les Souterrains)」
- 「サン=タユール教会(L’église Saint-Ayoul)」
- 「バラ園(La roseraie de Provins)」
プロヴァンはフランスの中でも特に保存状態がよい中世都市
すでに旧石器時代から人間が住んでいたとされるプロヴァン。最も栄えたのは、シャンパーニュ伯が特に絶大な権力を振るった12世紀から13世紀です。
ヨーロッパ中の商人が集まり、大規模な交易を行う“シャンパーニュ大市”を開催する都市だった時代です。
しかし13世紀にシャンパーニュ女伯であったフアナ女王がフランス国王フィリップと結婚し、プロヴァンはフランス王領に併合。14世紀には商業用道路が変更になるなどの理由で、その後衰退の一途を辿っていきました。
でもそのおかげで現在も、中世の街並みが保存の良い状態で残っているというわけです。
旧市街を歩けばあちこちに美しい木組みの家が並び、どこを切り取ってもフォトジェニック。ハネムーンで散策すれば、タイムスリップ気分を味わえますよ。
プロヴァン観光は、旧市街の中心地「シャテル広場」からスタート
中世時代は貨幣取引所だったシャテル広場(La Place du Châtel)。“両替の十字架”と呼ばれる、13世紀からここにある十字架と井戸が目印です。
この広場に面してある「地方と職人の館(La Maison du Terroir et de l’Artisanat)」は、地方名産品のお店やギャラリー、観光局、トイレがあるので覚えておくと便利。日本語のガイドマップもあるので、最初にゲットしておくと町歩きがスムーズです。
その広場を囲むように、美しい木組みの建物が並んでいます。
レストランやカフェなどになっており、ここも中世の雰囲気たっぷりです。まずはここからぶらぶら街歩きを始めましょう。
高台から見下ろすように建つ、街のシンボル“セザールの塔”
シャテル広場の「地方と職人の館」のわきの道を抜けると、町のシンボル「セザールの塔(Tour César)」が見えてまいります。12世紀の建造物で、四角い土台の上に置かれた多角柱が特徴。
当時は監視台、刑務所、鐘楼(しょうろう)などの役割がありました。
塔からはプロヴァンの街とシャンパーニュ平野のパノラマが見渡せますので、ぜひ立ち寄っていきましょう。
プロヴァンの街に眠る広大な地下迷路!
セザールの塔を見学後、旧市街に戻ります。上の写真に写っているのは、地下道「レ・ス-テラン(Les souterrains)」への出入り口。
プロヴァンの町の下には何と、10数㎞に渡って地下道が張り巡らされているのです。
申し込みをすれば見学が出来ますが、迷路のようになっているため、ガイドさん付きの見学ツアー(時間が決められている)のみ入場可となっております。
地下道見学の現地ツアーに参加してみました!
ちょうど通った時にツアー開始時間に間に合ったため、運よく参加出来ました。ガイド付き見学ツアー参加料は4.50ユーロで45分間でした。
この地下道は当初、羊毛の洗い場の空間。粘土質の土が、羊毛のシミ抜きや家を造る際にも使えるため、地下空間が町のあちこちに出来ました。
それらがつながって、最終的には広大な地下道になったというわけです。出入口のある建物は病院として使われていて、その下の地下道と共に、貧民や巡礼者を受け入れるための施設になりました。
また、地下道の温度が常時12度であることを活かし、ワインや食料のカーヴとしても使われるようになりました。
地下空間には古代からの落書きがたくさん残っているのですが、下の写真はワイン作りの先生と生徒が書いたサイン。
あの伝説の秘密結社「フリーメイソン」の落書きも残っているんです。なんでもこの地下空間でミーティングをしたそうな。
下の写真は、ワインや食料の売り買いに使われたマルシェのような地下広場。
ここはまだわかりやすいのですが、地下道はどこもくねくねしていて本当に迷路のよう。ガイドさんがいなかったら地上に戻れなくなるかも…。
45分は結構あっという間でしたが、フランス語の説明なのが残念。日本から来た方にはどうかな、と思います。ただやはり地下道も中世の雰囲気があって面白いです。
新市街にある11世紀の建造物「サン=タユール教会(L’église Saint-Ayoul)」へ
続いて訪れたのが新市街。写真は11世紀の建造物「サン=タユール教会(L’église Saint-Ayoul)」です。初期のシャンパーニュ大市はこの広場で開かれていました。
当時の様子と見比べてみると、着ているものこそ違いますが、あまり変わってないですね。
他にも予算不足のため、未完成のままの12世紀のサン=キリヤース聖堂。チボー5世がキリストの十字架の一部を持ち帰って名前がついたとされるサント=クロワ教会などなど。歴史ある美しい教会があります。
プロヴァンには国が指定する歴史的建造物が50か所以上あり、全部はご紹介しきれません。でも、町のいたるところに歴史が刻まれた建物や場所があって歩くのが楽しいです。
「あ、この建物はジュール・ヴェルヌが滞在したんだ」なんて発見もありますよ。
プロヴァンのバラは、シャンパーニュ伯が十字軍から持ち帰ったのがはじまり
シャンパーニュ伯チボー4世(1201年ー1253年)は、1240年に十字軍の遠征に参加。芳香が際立っていると言われるダマスカスのバラをプロヴァンに持ち帰りました。
以来、バラの栽培が盛んになり、現在もバラを使った製品作りの中心地となっております。
プロヴァンのバラの見頃は6月。でも、私が取材で訪れた5月末でも咲き始めていたので、プロヴァンの人気スポットである「バラ園」にも行ってみることにしました。
3ヘクタールにも及ぶプロヴァンのバラ園!春の見ごろは6月から
「バラ園(La roseraie de Provins)」は町の中心地から少し離れた場所にあります。
300種のバラがあって入場料は6ユーロ。さてさてバラの開花はどれくらいかな?
入場する際、お店の方が「開花がはじまったばかりよ」と教えてくださったのですが、本当にはじまったばかりでした~。
少し時期が早かった感は否めないです。パリのバラが5月末の時点で見頃のピークが過ぎ、後半というイメージ。なので、プロヴァンスのバラ園は、パリより開花するのが遅いんですね。
もっと咲いていたら、さぞかし「綺麗だったろうな」と思いながらも、少し開花しているバラを見つけながら歩きます。
バラの名前を見るのも面白いです。
ヴェルサイユ宮殿の庭園を設計したアンドレ・ルノートルや、去年亡くなったフランスを代表する歌手シャルル・アズナブール。今年亡くなったフランス料理界の巨匠ポール・ボキューズの名がついたバラもありました。咲いてなかったけど…。
バラ以外の花も咲いております。バラじゃなくても綺麗だし嬉しい~。
ウェディング・デーというバラもみつけました。ハネムーンカップルのためにパチリと一枚撮りたかったのだけど、残念ながら開花はこれから。
でもこの庭園、広々としていて小川も流れていたりしてとても美しいんですよね。
美しい庭園で癒しのひと時!絵画のような景色が広がります
あちこちに休むための椅子が置いてあるので、ちょっと座って緑に囲まれ、鳥のさえずりなんかを聞きながら過ごすのが気持ちいいんです。
でもやはり、少しでもバラが咲いていないと寂しいです。バラ園ですものね。
園内にはバラ製品のショップとカフェもあります。カフェではバラ風味のお茶やシャーベットがいただけます。
プロヴァンのバラ園、春の見頃は6月から。秋は9月頃がシーズンです。これからハネムーンでパリにいらっしゃるなら、秋咲きがねらい目ですね。
ゆったり過ごせるプロヴァンは、ハネムーン観光におすすめ!
プロヴァンの街は世界遺産ですが、混み合うことはなく、観光客も「プロヴィノワ(プロヴァンの住民の呼び名)」もゆったりとした時間を共有しております。
2019年6月15日と16日にはプロヴァンで一番大きなイベント、中世のシャンパーニュ大市を再現した「中世祭り」も開催されました。中世の服装に身を包んだ職人、商人、ご婦人方が町にあふれ、ちょうどバラも見頃の時期と重なります。プロヴァンが一番美しい、楽しい季節を狙って、ぜひハネムーンを計画してみてください。
次回は、プロヴァンの美しいホテルをご紹介させていただきます。お楽しみに!
<Information>
■2019年プロヴァンの中世祭り
■プロヴァン観光局のホームページ
プロヴァンまでの行き方:パリ東駅のP線でプロヴァン行き。パリから1時間30分程度。
フランス国鉄のサイト
※「partir de」のところに「gare de Paris est」「aller à」のところに「Provins」、出発日などを入力してRECHERCHERで検索してください。