日本の段階的な水際対策緩和の動きの中、海外旅行へ行きたいと希望される方が増えてきたようです。イタリアはヨーロッパの中でもハネムーンで行きたい国No.1ですから、現在のイタリア観光事情やコロナ状況はどうなのか気になるところだと思います。
2020年から始まったコロナ禍で日本同様、イタリア観光業界は一時期苦境に立たされた状況でした。しかしながら徐々に快方へ向かい、現在は主に欧米諸国からの観光客の方々が戻ってきています。
街では北米や欧州からの方々を多く目にしますが、東洋からの観光客の方々はほぼ見かけません。ローマの観光ガイドライセンスを持つ親戚がいますが、アメリカ、スペイン、ドイツ、イギリス、フランスからのお客様が多いそうです。
欧米以外ではイスラエル人が多く、最近ではシンガポールからの方が増えてきたそうです。ヨーロッパの大手旅行会社のクオニ(Kuoni)は、2022年のハネムーンにベストな街としてローマやフィレンツェをお勧めしています。
「ウィズ・コロナ」の道を選択したイタリア
ローマの観光名所、トレビの泉も現在は観光客で混み合っています。
コロナ禍のロックダウン時には、誰もいなかった観光地の映像がテレビなどで紹介されていましたが、現在はこの通りの賑わい。コロナ前のハイシーズンピーク時ほどとはいきませんが、街には活気が戻ってきました。
一時期、ローマの街中から姿を消していた2階建て観光バスも戻って、長期閉鎖されていたホテルも再稼働している状態です。
観光客の受け入れに積極的な政策に方向転換しつつあるイタリア
現在、新型コロナウイルス拡大防止のためのイタリア政府による政策はかなり緩和され、観光客の方々にも過ごしやすいものとなりました。
緩和前のイタリアは欧州一厳しいといわれる措置が取られ、COVID-19グリーン証明書(EU内で発行されるワクチン接種証明、治癒証明、陰性証明)がないとレストランで食事もできず、公共交通機関も利用できないという厳しい制限がありました。
しかし今は一部を除いて撤廃されています(介護施設や病院での入院患者への訪問の際などには必要です)。
新型コロナウイルス感染状況が落ち着き、ワクチン接種率も高い水準にあるイタリア
現在のイタリアの新型コロナウイルスの状況は、ここ数か月、現在の陽性者、もしくは新規陽性者の数や病床使用率は順調に減少しています。
イタリアの新型コロナウイルスワクチンの接種率はかなり高く、二回目まで接種した12歳以上の国民の接種率は約90%にも上ります。ブースター(3回目)接種対象者の82%が接種を終えましたが、これは世界的に見てもかなり高い数字です。
今回の規制の大幅な緩和はそれらの状況も考慮されて行われました。
イタリア国内で陽性反応が出た場合の措置
現在イタリアで検査をして陽性の場合、ブースター接種済みの人で無症状なら自宅で1週間の自主隔離とその後の簡易抗原検査で陰性なら自主隔離終了。
もし症状があるのなら1週間の自主隔離の後、3日間症状がなければ、その後の簡易抗原検査で陰性の場合は自主隔離終了です。
ブースターを受けてない人でも無症状なら隔離時間は10日間。症状があれば10日間、それに加えて3日間の無症状状態が続けば、簡易抗原検査を受け、陰性なら自主隔離終了になります。
ただその場合、10日間はN95マスクやKN95マスクに値するFFP2マスクを着用し、症状が出たらすぐに検査をする必要があります。
新型コロナの簡易抗原検査は薬局などで手軽に受けられます。
上写真のように薬局の外にガゼボなどが設置されており、10分くらいで結果がわかります。お値段は15ユーロほどです(2022年5月25日現在で約2,000円になります)。
現在、イタリアでは屋外でのマスク着用義務はありません
2022年5月25日現在では、屋外でのマスク着用義務は廃止されました。屋内でのマスク着用義務は6月15日までです。
ただしバスや地下鉄などの公共交通機関、美術館や劇場、屋内のイベントなどにはFFP2マスク(N95マスクやKN95マスクに値する)の着用が義務付けられています。
上の写真のように、屋外でマスクをしている人は少ないです。
ただし、イタリア人の中には屋外でマスクをしている方もまだまだいます。新型コロナ前のイタリアには全くマスクをする習慣がなかったのですが、この2年の間、義務であったこともあり、人々の間にマスク着用の習慣ができました。
ただ、6月15日には屋内のマスクの義務が場所により解除される法令が出る予定であり、暑さが厳しくなるにつれてマスク着用率は減っていくかもしれません。
在イタリア日本大使館のHPでもイタリアのマスク着用の現行のルールが日本語で閲覧できます。
日本からイタリアへ渡航する場合、必要な書類がかなり簡略化されています
なお、新型コロナウイルス拡大防止政策緩和の一環として、イタリア政府では観光客への入国規制を大幅に緩和しました。
日本からイタリアへ渡航する場合、以下のいずれか一つを提示する必要があります。
■COVID-19グリーン証明書(EU内で発行されるワクチン接種証明、治癒証明、陰性証明)
■上記と同等の証明書(下記a)~d)のいずれか一つで可)
a) 欧州医薬品庁(EMA)が認可したワクチンの初回接種サイクル完了(2回接種が必要なワクチンは2回接種が完了)を証明するもので、接種完了から9か月以内のもの。
b) 上記接種に加え、EMAが認可したワクチンでブースター接種を受けたことを証明するもの(現在のところ無期限)。
c) 6か月以内に発行された新型コロナウイルス感染からの治癒証明
d) イタリア入国前72時間以内に実施したPCR検査の陰性結果証明又はイタリア入国前48時間以内に実施した抗原検査の陰性結果証明。引用元:https://www.it.emb-japan.go.jp/itpr_ja/covid_19.html在イタリア日本大使館「イタリアにおける新型コロナウイルス感染関連情報」より
簡単にいえば、ワクチン3回接種済であれば出入国いずれも隔離の必要はなし。
2回接種であってもイタリア入国前72時間以内に実施したPCR検査で陰性、もしくは、入国48時間以内に実施した抗原検査で陰性が証明されれば問題なく入国できます。
イタリアから日本へ渡航する場合は、まだ少しハードルが高い印象です
しかし、イタリア政府が大幅に政策を緩和したのとは対照的に、イタリアから日本へ渡航する場合の水際対策はまだまだハードルの高いものとなっています(日本はまだ日本国籍を有しない人による観光目的の入国は制限中、6月から緩和の予定)。
大まかに説明すると、イタリアから日本へ行く飛行機の出発時刻の72時間以内にPCR検査(一部の抗原検査も可)を受け、日本政府指定の陰性証明に医師の署名を含む必要事項を記入してもらって取得。
空港のチェックインカウンターにてすべての必要書類の不備がないか確認を済ませ、飛行機に乗り、日本入国時に再び必要書類の確認をし、検査を受け、陰性なら自宅、もしくは目的地に向かうことができます(注:2022年6月1日から条件を満たせば入国時の検査義務はなくなります)。
厳密にはかなり細かく日本政府からの指示に従う必要があるので、詳しくは在イタリア日本大使館のサイト、および、厚生労働省のサイト(水際対策に係る新たな措置について)をご覧ください。
2022年6月1日以降、イタリアから日本に戻る場合、飛行機に乗る前のPCR検査での陰性証明はまだ必要ですが、イタリアが日本政府が定める指定国の中に入れば、日本入国時の検査は免除されます。
2022年5月26日にイタリアから日本への入国がスムーズに!自宅待機なしです
記事を書いた時点では、入国時の検査義務がありましたが、2022年5月30日現在、外務省による指定国のリストが発表されました!イタリアは青に指定(「青」区分の国・地域からの帰国者・入国者については、ワクチン3回目接種の有無によらず、入国時検査を実施せず、入国後の自宅等待機を求めないこととする)されましたので、イタリアから日本に到着時の空港での検査はなくなりました。
ただし、日本出発前72時間以内にするPCR検査または定量抗原検査はまだ必要です(外務省・水際対策強化に係る新たな措置について“一部の国・地域からの入国者に対する入国時検査の免除等”)。
これらの規制も状況に応じ、目まぐるしく変わっていくので常に情報をアップデートする必要があります。日本入国に対しても他の国々と同じように規制緩和が進む傾向にあるといえるのではないでしょうか。