テルミニ駅からほど近い場所にある、ローマ4大聖堂の一つである「サンタマリアマッジョーレ(Santa Maria Maggiore)教会」。
25年に一度という聖年の年を迎え、聖なる扉(Porta Santa)をくぐるチャンスです。
前編ではサンタマリアマッジョーレ教会の見どころ、モザイク画についてご紹介しました。
2回目の後編では、教会の地下から見つかった紀元前の遺跡についてお伝えしましょう。
発見されたのは、1966年パオロ6世教皇の時代。教会の地下6mの位置に、アウグスト時代(紀元前1世紀~1世紀)の、ドームスロマーナ(古代ローマ時代の上流階級や中流階級の自由民が住んだといわれる住居)の中庭とされる石柱の跡や床の跡が発見されました。
紀元前1世紀の中庭はポルティコ作りで、モザイク飾りの床からも当時のドームスロマーナの豪華さをうかがう事が出来ます。
教会の下に眠る、紀元前の貴重な遺跡「フレスコ画」
地下ツアーではは、当時のいくつかの部屋を見て回れます。
特に目を引くのは、2世紀のフレスコ画の残る壁です。このフレスコ画からは二つの特徴がみられます。
実はこのフレスコ画は、ローマ本来のフレスコ画とは一味違うのです。
一つ目は、フレスコ画の模様。立体感を出す描かれ方は当時のローマの特徴ではありません。
2つ目は、フレスコ画の色です。ローマやポンペイは赤やオレンジなど熱い色を主として使用していましたが、この壁は緑や白など冷たい色を使っています。この事から、このフレスコ画は北アフリカの文化を取り入れていることが分かります。つまり、カルタゴからの文明をローマに持ち込んでいることが分かります。
このお屋敷は数世紀にわたり、大変な財力者達のお屋敷で有ったことがわかります。
2世紀の大理石をふんだんに使った跡や、空気と水の空調設備の跡、そして、カレンダーを表すフレスコ画も残されています。
カレンダーには、12か月を通して農業を表すフレスコ画が素晴らしい状態で残されています。8月、9月のフレスコ画カレンダーを見ることができます。
ただ、残念なことに、このドームスロマーナを土台に次代の建物(教会)が上に建てられていくため、壁となってしまっているカレンダーも存在します。
なんと!紀元前から床下暖房施設もあった!?
このお屋敷には温水設備も整っていて、疲れた体を癒していた当時の家主の贅沢な生活も垣間見れます。
写真中央の穴の下からわかるように床下に温水が流れることによりお風呂の床も温かかったのでしょう。
数世紀にわたり、家主も変わり、過去のお屋敷の上にまた新しいお屋敷を立てるように増設・改築されるため、掘れば掘るほど時代がさかのぼるのがローマです。
コンスタンティヌス皇帝時代前のキリスト教信者の集まりがあったこともうかがえる部屋も興味深いものです。秘密の暗号で示された壁画に注目です。
2か国間にまたがって建てられているサンタマリアマッジョーレ教会
サンタマリアマッジョーレ教会の敷地内はバチカン国の所有ですが、敷地外はイタリア国の所有の為、地下のお屋敷は広大な広さであっても2国間の壁があり、すべてを観ることはできません。
それでも、イタリア・ローマとは、紀元前753年ローマ誕生の歴史の上につくられた国が、今でもその線上に作られているのだと感動します。
地下ツアーは、他所でもお勧めがありますので、また記事にしてお伝えしたいと思っています。
サンタマリアマッジョーレ教会へ訪れるのでしたら、是非、この地下ツアーにご参加されてみてくださいね。
チケット売り場は教会お土産売り場の奥、外に出て右下になります。地下ツアーと正面ロッジェの雪降るマリア様のモザイク画ツアーと両方お申込みがお勧めです。
ツアー料金は各5ユーロ/一人です。
きっと普通に観光するだけではローマの素晴らしさは表面だけしか見れません。
ハネムーンSの「イタリアローマのお勧め」をチェックして、思い出話にも熱が入るくらい、そしていつかまたローマに戻ってきたいと思える記事をご紹介していきたいですね。
2016年3月 ローマより 桜子